このページの要点
- 任せる範囲・預けるもの・報酬・事故・終わり方の5つの軸を、任せる側と受ける側が同じ表で確認する。
- 事務の仕事の多くは準委任。注意義務は民法644条、報告は645条、報酬は648条で考える。
- 個人データを任せても、委託先の監督の責任は任せる側に残る(個人情報保護法25条)。
- 基本の契約書・個別の依頼書・業務マニュアルの3層に分け、層の間の優先順位を決める。
結論:まず「任せる範囲」「預けるもの」「報酬」「事故」「終わり方」の5つを決める
オンライン秘書、事務代行、経理の補助、採用事務、問い合わせ対応といったバックオフィス業務は、納品物の形が残らない仕事です。請負のように「完成した成果物を検収する」という区切りがなく、毎日の作業が積み重なって一か月の仕事になります。そのため、契約書で決めておかないと、後になって「どこまでが業務だったのか」「誰のミスなのか」「終わったあと、預けたアカウントと資料はどうなるのか」という争いになりやすい類型です。
この種の契約書で最初に確かめることは、条文の細かい言い回しではなく、5つの軸が決まっているかどうかです。任せる範囲(何をどこまで任せるか)、預けるもの(資料・アカウント・個人データ・お金のどれを、誰の権限で預けるか)、報酬(成果物がない仕事の対価を何の単位で数えるか)、事故(ミスや漏えいが起きたときの連絡と責任)、終わり方(解約の手順と、終了後に預かり物を残さない手順)の5つです。このガイドの各ページは、この5つの軸のどれかを掘り下げる構成になっています。
- 任せる範囲:「事務全般」と書かず、定型の業務、判断を伴う業務、例外的な依頼に分けて書き、範囲外の依頼が来たときの手順を決める。
- 預けるもの:資料、アカウント、個人データ、お金の4種類に分け、それぞれ誰が・何の権限で・いつまで預かるかを決める。
- 報酬:月額、時間、件数、日額のどれで数えるかを決め、上限を超えたときと、資料の遅れで翌月に回ったときの数え方を書く。
- 事故:ミスの類型に応じて連絡の期限と責任の範囲を段階に分け、任せる側に原因がある遅れの扱いも決める。
- 終わり方:予告の期間、中途で終わったときの報酬、アカウントの失効とデータの消去、引継ぎ資料までを一続きで決める。
このページは全体像です。任せる側と受ける側のどちらの立場でも、同じ5つの軸の表で契約書を点検できるようにしています。個別の論点は、業務範囲は業務範囲のページ、報酬は報酬の決め方のページ、預かり物は資料・アカウント・個人データ・お金の各ページで扱います。
5つの軸の見取り図:決めること、契約書のどこに置くか
5つの軸は、契約書の条文の並びとほぼ対応します。多くの契約書では、冒頭に目的と定義、続いて業務の内容、報酬、秘密保持、再委託、損害賠償、解除という順に並びます。この並びのどこに、5つの軸のどれが入るのかを意識しておくと、条文が足りないところと、同じことが二か所に書かれてかえって矛盾しているところが見えてきます。
バックオフィス業務委託の5つの軸
任せる範囲
業務の種類、定型・判断・例外の区分、受付時間、返信の期限、報告の頻度、指示を出す窓口、範囲外の依頼の手順
置き場所業務内容の条文と別紙の業務一覧、個別の依頼書
預けるもの
資料、アカウント、個人データ、お金のそれぞれについて、権限の範囲、保管場所、持ち出しの可否、ログの確認、返却・消去
置き場所資料等の管理、アカウントの管理、個人情報の取扱い、経費・立替の条文、別紙の権限表
報酬
月額・時間・件数・日額のどれか、上限と超過、繰越、立替経費の負担、支払期日、報酬が遅れたときの一時停止
置き場所報酬の条文と別紙、個別の依頼書の単価欄
事故
ミスの類型、連絡の期限、初動、再発防止の報告、賠償の範囲と上限、任せる側の原因による遅れの扱い
置き場所損害賠償・責任制限、事故発生時の報告、免責
終わり方
解約の予告、中途終了時の報酬、引継ぎ、アカウントの失効、データの消去と完了報告、終了後も続く義務
置き場所期間・解除・存続の条文、終了時の措置の条文
5つの軸は、どれか一つでも空白だと、その部分は当事者の記憶と慣行に委ねられます。
表の右端の「置き場所」は、あくまで一般的な目安です。契約書の形式によっては、権限表や業務一覧を別紙にしたり、個別の依頼書にまとめたりします。大切なのは、どこに書くかよりも、同じ事項が複数の場所にあるときに、どれが優先するのかを決めておくことです。この点は、後ほど3層構造の節で説明します。
業務委託・準委任・請負:事務の仕事はどれに当たるか
契約書の表題が「業務委託契約書」でも、法律上の性質は表題では決まりません。民法には、他人に仕事を任せる契約として、請負と委任(準委任を含む)が定められています。事務作業の多くは、このうち準委任に当たると整理されるのが一般的です。違いを押さえておくと、報酬の請求の仕方や、途中で終わったときの清算、ミスの責任の考え方まで見通しがよくなります。
請負は、当事者の一方がある仕事を完成することを約し、相手方がその仕事の結果に対して報酬を支払うことを約する契約です(民法632条)。仕事の完成が前提なので、報酬は成果物の引渡しや検収と結び付きます。一方、委任は、法律行為をすることを相手方に委託する契約で(同643条)、法律行為でない事務の委託には、委任の規定が準用されます(同656条)。これが準委任です。帳簿の整理、スケジュールの調整、メールの一次対応、書類の整理といった事実行為の事務は、法律行為ではないので、準委任の規定が当てはまります。
請負と準委任の比べ方(事務の仕事に当てはめて)
| 項目 | 請負 | 準委任 |
|---|---|---|
| 約束の中身 | 仕事の完成(結果を出すこと) | 事務の処理(適切に処理にあたること) |
| 注意義務 | 完成させる責任が中心 | 善良な管理者の注意をもって事務を処理する義務(民法644条) |
| 報酬の考え方 | 成果物の引渡し・検収と結び付く | 特約があれば請求でき、後払いが原則。期間で定めた報酬は期間経過後(民法648条1項・2項、624条2項) |
| 途中で終わったとき | 可分な部分の給付で注文者が利益を受けるとき、その割合に応じた報酬(民法634条) | 既にした履行の割合に応じた報酬(民法648条3項) |
| 報告 | 契約の定めによる | 請求があればいつでも状況を報告し、終了後は遅滞なく経過と結果を報告する(民法645条) |
| 解除 | 注文者は完成前なら損害を賠償して解除できる(民法641条) | 各当事者がいつでも解除できる。相手方に不利な時期の解除は損害賠償(民法651条) |
ここで気を付けたいのは、準委任でも「成果に対して報酬を支払う」と約束する形があることです。委任事務の履行により得られる成果に対して報酬を支払うことを約した場合は、成果の引渡しと同時に報酬を支払うことになります(民法648条の2第1項)。たとえば、毎月の資料の整理を「月次の集計表を完成させて渡すこと」と約束すれば、報酬は成果物と結び付きます。ただし、バックオフィスの仕事は、集計表のような成果物が出る部分と、問い合わせの一次対応のように成果物が出ない部分が混ざります。混ざっているときは、どの部分が成果型で、どの部分が時間や件数で数える部分なのかを、業務ごとに書き分けておくのが実務的です。
多くの契約書で見られる傾向として、事務作業の契約に、請負型の雛形の「成果物の納品」「検収」「無償での修正」の条項がそのまま残っていることがあります。成果物の形がない業務に検収の条項があると、「何を検収するのか」「検収が済まないと報酬は払われないのか」が曖昧になります。業務の実態が準委任なら、その実態に合う条項に差し替えることが、最初の点検の対象になります。
任せても残る責任:委託する側の説明責任と監督
業務を任せると、責任も一緒に任せたように感じることがありますが、実際には、任せる側に残る責任があります。第一に、個人データを扱わせる場合の委託先の監督です。個人情報取扱事業者は、個人データの取扱いの全部又は一部を委託する場合、委託を受けた者に対する必要かつ適切な監督を行わなければなりません(個人情報保護法25条)。事務代行に顧客名簿や従業員の情報を見せるなら、任せる側にこの義務が生じます。何をもって「必要かつ適切」とするかは、個人情報保護委員会のガイドラインなど所管官庁の資料で確認が必要ですが、少なくとも、誰がどこまで見られるかを決め、契約書に落とし込むことが出発点になります。
第二に、任せる側の説明責任です。たとえば、顧客や取引先に対して、自社の事務を外部に任せていることを前提にした約束をしているときは、任せた先のミスが、そのまま自社の顧客への責任になります。受ける側の落ち度で遅れたとしても、顧客から見れば自社の遅れです。そのため、任せる側は、受ける側に何を守らせるのか(期限、品質、情報の扱い)を、契約書で明確にしておく必要があります。
第三に、お金や権限の最終判断です。受ける側に振込の準備や請求書の発行を任せても、最終的な承認を誰が行うのかを決めておかないと、誤りが生じたときに責任の所在が分からなくなります。この点はお金の扱いのページで詳しく見ます。
一方、受ける側にも、独自の責任があります。受任者は、委任の本旨に従い、善良な管理者の注意をもって事務を処理する義務を負い(民法644条)、委任者の請求があるときはいつでも状況を報告し、終了後は遅滞なく経過と結果を報告しなければなりません(同645条)。事務の処理にあたって受け取った金銭その他の物は、委任者に引き渡す義務があります(同646条)。これらは、契約書に書かれていなくても、準委任の性質から生じる義務です。契約書でこれを「確認的に」書き、さらに具体化しておくと、運用が安定します。
この節で確認した条文
民法644条
受任者は、委任の本旨に従い、善良な管理者の注意をもって、委任事務を処理する義務を負う。
民法645条
受任者は、委任者の請求があるときはいつでも状況を報告し、委任が終了した後は遅滞なくその経過及び結果を報告しなければならない。
民法646条
受任者は、委任事務の処理にあたって受け取った金銭その他の物を委任者に引き渡さなければならない。
個人情報保護法25条
個人データの取扱いの全部又は一部を委託する場合は、委託を受けた者に対する必要かつ適切な監督を行わなければならない。
契約書・個別の依頼書・業務マニュアルの3層構造
バックオフィス業務の契約は、一度結べば終わりではありません。業務の中身は、季節や取引先の事情で日々変わり、新しい業務が追加され、不要になる業務も出ます。そのたびに契約書本体を作り直すのは現実的ではありません。そこで、実務では、契約書を3つの層に分けて運用する形がよく見られます。
3層構造の役割
| 層 | 何を書くか | 変わりやすさ | 書面の形 |
|---|---|---|---|
| 基本の契約書 | 準委任の性質、責任、秘密保持、個人情報、再委託、報酬の考え方、解除、存続など、変わりにくい約束 | 低い(改定には双方の合意) | 契約書(署名または電子署名) |
| 個別の依頼書 | 担当する業務の一覧、単価と単位、上限、期間、窓口の担当者、権限の範囲 | 中程度(業務の追加・変更のたび) | 依頼書・業務一覧表(メールやフォームでも可と決める) |
| 業務マニュアル | 作業の手順、ファイルの置き場所、チェックの項目、連絡の様式、ツールの使い方 | 高い(運用の都合で随時) | 手順書・チェックリスト(変更履歴を残す) |
この3層で最も大切なのは、層の間の優先順位です。基本の契約書と個別の依頼書の内容が食い違ったとき、どちらを優先するのかを決めておかないと、後から出てきた依頼書が、契約書の責任の約束を事実上書き換えてしまうことがあります。優先関係の定め方には、いくつかの形があります。
書き方の例(一般的な例) 3層の優先順位の書き方
優先関係
理由個別の依頼書が日々の業務で作られるため、軽い気持ちの記載が責任の範囲を変えてしまうことを防ぐ
マニュアルの位置づけ
理由マニュアルの変更で、範囲や作業量が静かに増えていくことを防ぐ
個別の依頼書をメールやチャットで出せるようにするときは、「依頼書とみなす方式」と「受付の返信(承諾)」を決めておくと運用が安定します。依頼があっただけで成立するのか、受ける側が承諾を返した時点で成立するのかを定めないと、「頼んだはず」「受けていない」という行き違いの原因になります。業務範囲の書き方は業務範囲のページで、範囲外の依頼の手順を含めて詳しく扱います。
任せる側と受ける側が、同じ表で確認する問い
契約書は、任せる側が作る場合も、受ける側が作る場合も、一方の利益に偏りやすい性質があります。そこで、立場の違いを前提に、双方が同じ問いで契約書を点検すると、偏りに気付きやすくなります。次の問いは、任せる側と受ける側のどちらの立場でも使えます。
確認の問いと理由契約書を読む前に、双方で確認する問い
この業務は、毎月ほぼ同じ量が続くか。それとも繁閑の差があるか。
報酬の単位(月額・時間・件数)の選び方が変わる。繁閑の差が大きいのに月額一本だと、繁忙月の不満の原因になる。
成果物と呼べるものがあるか。あるなら、どの業務か。
成果物がある業務だけに、納品と確認の手順が必要になる。全業務に検収を課すと、運用が止まる。
預けるものの中に、個人データやお金は入っているか。
入っていれば、委託先の監督と、お金に触れる権限の統制が必要になる。入っていなければ、条項を軽くできる。
受ける側は個人か、チームか。休暇や不在のとき誰が代わるか。
再委託の扱いと、担当者の交代・代行の約束が必要になる。個人一人に依存する業務は、止まったときの手当てが要る。
指示は誰が出し、誰が受けるか。複数の人が別々に指示を出さないか。
窓口が複数あると、優先順位が混乱し、範囲外の依頼が見えなくなる。
終わるとき、預けたアカウントと資料を、誰がどう片付けるか。
終了時の措置が決まっていないと、共有アカウントの残存や、資料の持ち出しが残る。
「はい」「いいえ」で答えられない問いが出たら、その部分が契約書で決めるべき論点です。
契約を結ぶ前に確かめるチェックリスト
5つの軸を踏まえて、契約書を結ぶ前、または更新の前に確かめたい項目を整理しました。すべてに「はい」と答えられる契約書は多くありませんが、「いいえ」の項目がどこに偏っているかを見ると、補うべき条項が見えてきます。
締結前のチェックリスト(5つの軸)
- 業務は、定型・判断・例外に分けて、一覧表などで具体的に書かれているか。
- 「これに付随する一切の業務」のような包括的な書き方が、範囲を無限に広げていないか。
- 範囲外の依頼が来たときの手順(別途の合意、追加の報酬、断ってよい場合)が決まっているか。
- 報酬の単位と、上限、超過、繰越、経費の負担が書かれているか。
- 請負型の雛形の「納品・検収・無償修正」が、成果物のない業務に残っていないか。
- 預けるもの(資料、アカウント、個人データ、お金)が、種類ごとに分けて書かれているか。
- 個人データを扱う場合に、安全管理、持ち出し、再委託、漏えい時の連絡、消去が書かれているか。
- 再委託と、担当者の交代・代行の扱いが決まっているか。
- ミスの類型と、連絡の期限、賠償の範囲が決まっているか。
- 任せる側の資料の遅れや指示の変更による遅れの扱いが書かれているか。
- 解約の予告期間と、中途終了時の報酬の計算が書かれているか。
- 終了時に、アカウントの失効、データの消去、完了報告までが決まっているか。
チェックリストは、すべてを契約書本体に書くための表ではありません。本体に書くこと、別紙や個別の依頼書に書くこと、運用のマニュアルに書くことを振り分けるための表です。振り分けの基準は、変わりやすさと、争いになったときの重さです。重い約束ほど本体に、変わりやすい手順ほどマニュアルに置きます。
関係する法律の見取り図と、起きがちなこと
バックオフィス業務の委託には、民法の準委任のほかに、立場に応じて次の法律が関係します。詳しくは関係する法律のページで整理しますが、全体像としては次のとおりです。自社の事務を個人に任せる場合、受ける個人が従業員を使用しない特定受託事業者に当たれば、特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律(フリーランス法)の対象になり得ます。この法律では、業務委託をした場合に、給付の内容、報酬の額、支払期日などを書面又は電磁的方法で明示することが求められます(同法3条)。顧客から受けた事務の一部を他の事業者に回す場合は、中小受託取引適正化法(取適法)の役務提供委託に当たるかどうかが問題になります(同法2条4項)。いずれも、資本金などの要件や委託の内容によって当てはまるかどうかが変わるため、条文と所管官庁の資料で確認が必要です。
また、個人データを扱わせるときは個人情報保護法、個人番号(マイナンバー)を扱わせるときは番号法が関係します。番号法では、個人番号利用事務等の委託を受けた者は、委託をした者の許諾を得た場合に限り、再委託をすることができます(同法10条)。事務代行に個人番号を触れさせるかどうかは、そもそも受託の範囲に含めるのか、含めないのかを最初に決める事項です。
起きがちなこと
- 「事務全般」と書いたために、頼む側は何でも頼めると考え、受ける側は何を断ってよいか分からないまま、作業が膨らむ。
- 請負型の雛形を使ったため、成果物のない業務に検収の条項が残り、報酬の支払が「検収待ち」で止まる。
- 預けるアカウントを共有のIDとパスワードで渡し、終了後も誰が使えるのか分からない状態が続く。
- 再委託の条項が曖昧で、受ける側が知らないうちに別の人に作業を回し、個人データが外部に出ていた。
- 契約書がなく、メールの断片だけで始めたため、報酬の単位や終了の手順を巡って、言った言わないの争いになる。
- 任せる側が、作業時間と場所を細かく指示し続け、実態が雇用に近いと見られる運用になる。
これらはいずれも、契約書の文言そのものよりも、運用の設計が決まっていないことから生じます。5つの軸を順に埋めていけば、起きがちなことの多くは契約書の段階で防げます。次に読むページとしては、業務の範囲に不安があるなら業務範囲のページ、報酬の単位に迷っているなら報酬の決め方のページ、終わり方が気になるなら終了・引継ぎのページが入口になります。
よくあるご質問
オンライン秘書や事務代行の契約は、請負と準委任のどちらになりますか。
表題ではなく業務の実態で判断されます。帳簿の整理、スケジュールの調整、メールの一次対応のような法律行為でない事務の委託は、準委任として委任の規定が準用されます(民法656条)。毎月の集計表の完成のように成果物と報酬を結び付ける部分があれば、その業務だけ成果型の整理になります(同648条の2)。混在するときは、業務ごとに書き分けるのが実務的です。
業務委託契約書は、基本契約書と個別の依頼書に分けたほうがよいですか。
業務が追加・変更されやすいなら、分ける形が向いています。変わりにくい責任・秘密保持・個人情報・解除などを基本の契約書に置き、業務の一覧、単価、期間、窓口を個別の依頼書に置きます。そのうえで、食い違ったときの優先順位と、個別の依頼書で責任の約束を変えるときの手続を決めておくことが大切です。
事務を外部に任せたら、個人データの管理の責任も相手に移りますか。
移りません。委託に伴う提供そのものは、利用目的の達成に必要な範囲内であれば第三者提供には当たらないとされますが(個人情報保護法27条5項1号)、委託元には委託先に対する必要かつ適切な監督の義務が残ります(同法25条)。監督の項目は、個人情報の委託のページで整理しています。
「業務委託」と書いてあれば、雇用や派遣とは見られませんか。
契約書の表題だけでは決まりません。作業の時間や場所、手順を細かく拘束し、指揮命令の下で働かせる運用になると、実態が雇用や派遣に近いと見られることがあります。業務の成果や処理の方法をどこまで受ける側の裁量に委ねるかを、契約書の書き方と運用の両方で整える必要があります。派遣との区分の考え方は、関係する法律のページで整理しています。
契約書がないまま業務を始めてしまいました。どうすればよいですか。
契約書がなくても、委任に当たる関係は成立します。ただし、報酬は特約がなければ請求できないとされる(民法648条1項)など、後で争いになりやすい部分が出ます。まずは現在の運用を、業務の範囲、報酬の単位、預けているもの、終了の手順の4点について書き出し、それを双方で確認する形で書面にするのが、実務上の最初の一歩です。
あわせて読みたいページ
本ページは一般的な情報提供です。個別の取引への当てはめは、業務の内容や預けるものの種類、当事者の事業の形によって異なることがあります。書き方の例として紹介している内容は、一般に見られる書き方を整理した例で、特定の事業者や案件を示すものではありません。条文は e-Gov法令検索で確認しています。参考: e-Gov法令検索 / 個人情報保護委員会 / 公正取引委員会 / 厚生労働省