事務を任せる・受ける立場ごとに及ぶ法律:フリーランス法・取適法・派遣との区分

事務代行の契約では、自社の事務を個人に任せるのか、顧客から受けた事務を他の事業者に回すのかで、関係する法律が変わります。フリーランス法、取適法の役務提供委託、労働者派遣法との区分を、条文を確かめながら整理し、契約書への落とし方を説明します。

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「業務委託契約書を作れば足りる」とは限りません。誰から受け、誰に回し、どんな運用になっているかで、読むべき条文が変わります。

このページの要点

  • 自社の事務を従業員を使わない個人に任せるときは、フリーランス法の明示(3条)、支払期日(4条。従業員を使用する発注者が対象)、継続的業務委託の解除予告(16条)などを確かめる。
  • 顧客から受けた事務の一部を回す場面は、取適法2条4項の役務提供委託に当たり得る。資本金・従業員数の区分に該当するかは別に確認する。
  • 契約の名称が業務委託でも、指揮命令を受けて働く実態があれば、雇用や労働者派遣として見られる場面がある。独立性は書き方と運用の両方で整える。
  • 取引条件は書面または電磁的方法で明示する。細目は規則の原文で確認し、断定できない点は所管官庁の資料で確かめる。

結論:事務を「誰から受け、誰に回すか」で、及ぶ法律が変わります

事務代行やオンライン秘書の契約では、「業務委託契約書を作れば足りる」と考えられがちですが、契約の当事者が誰で、事務が誰のためのものかによって、関係する法律が変わります。民法の委任(準委任)の規定は、どの場面でも土台になります。その上に、次の三つの層が重なります。

このページが扱う軸

任せる範囲

誰から受け、誰に回すか。自社の事務か、顧客から受けた事務か。

置き場所契約の前文・目的・業務の定義(受ける側の立場の書き方)

終わり方

予告、解除、支払期日など、法律が契約の内容に影響を与える部分。

置き場所期間・解除・報酬の条項と、書面または電磁的方法での明示

個別の条項の書き方は、各ガイドで扱います。ここでは、どの法律が、どの場面で、契約書のどの部分に影響するかを整理します。

  1. 自社の事務を個人の事業者に任せる場面(発注する側):特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律(フリーランス・事業者間取引適正化等法。以下「フリーランス法」)が、取引条件の明示、報酬の支払期日、継続的な業務委託の解除の予告などを定めている。
  2. 顧客から受けた事務の一部を、他の事業者に回す場面(再委託する側):製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律(中小受託取引適正化法。以下「取適法」。旧・下請法)の役務提供委託に当たるかが問題になる。あわせて、再委託を受ける相手が個人の事業者であれば、フリーランス法の再委託の規定(4条3項)も関係する。
  3. どちらの場面でも:契約の名称が「業務委託」でも、実態が指揮命令を受けて働く関係であれば、雇用や労働者派遣として見られる場面がある。

この三つのうち、どれが自分の場面に当たるのかを先に確かめると、読むべき条文が絞られます。以下では、条文に沿って順に整理します。法令名の長い正式名称は、初出でのみ書き、以後は略称を使います。

立場別に見る:どの法律が、どの場面に関係するか

場面ごとの関係法令の早見表

場面関係する主な法律契約書に影響する部分このページの節
自社の事務を、従業員を使わない個人に任せるフリーランス法(2条・3条・4条・5条・13条・14条・16条)。4条・5条は従業員を使用する特定業務委託事業者が対象で、5条は1か月以上の業務委託に限る取引条件の明示、報酬の支払期日、遵守事項、解除の予告自社の事務を個人に任せるとき
顧客から受けた事務の一部を、他の事業者に回す取適法(2条4項・3条・4条・5条)。相手が個人ならフリーランス法の再委託の規定(4条3項)も代金の支払期日、明示事項、遵守事項顧客から受けた事務を回すとき
委託者が、受託者本人に細かく指示する運用になっている労働基準法9条(労働者の定義)、労働者派遣法2条1号・24条の2契約の独立性の書き方と、運用の実態雇用・派遣と見られない運用

表の最初の二行は、発注する側の義務を定める法律です。受ける側から見れば、発注者から何を求める権利があるかを確認する根拠になります。契約書を作る側は、自分がどちらの立場にあるかを先に確かめます。

自社の事務を個人に任せるとき:フリーランス法

フリーランス法は、特定受託事業者(業務委託の相手方である事業者で、個人であって従業員を使用しないもの、または法人であって一の代表者以外に他の役員がなく従業員を使用しないもの)を保護する法律です(2条1項)。「業務委託」には、事業者がその事業のために他の事業者に役務の提供を委託することが含まれます(同条3項2号)。事務代行、オンライン秘書、カスタマーサポート代行など、成果物のない役務の委託も、この「役務の提供の委託」に当たり得ます。

フリーランス法の主な規定(条文の要旨)

2条1項・3項

特定受託事業者の定義。業務委託には、事業者がその事業のために他の事業者に役務の提供を委託することを含む。

3条

業務委託をした業務委託事業者は、直ちに、給付の内容、報酬の額、支払期日その他の事項を、書面または電磁的方法で明示しなければならない(内容が定められない正当な理由のある事項を除く)。

4条1項

特定業務委託事業者が業務委託をした場合の報酬の支払期日は、役務の提供を受けた日から起算して60日の期間内で、できる限り短い期間内に定める。

5条1項・2項

政令で定める期間以上の業務委託(政令により1か月)では、特定受託事業者の責めに帰すべき事由のない報酬の減額、著しく低い報酬の額の不当な決定などを禁止。1項の括弧書きにより、2項も1か月以上の業務委託に限られる。役務の提供の委託では、受領拒否と物の引取りに関する号は対象外。

13条1項

政令で定める期間以上の継続的業務委託(政令により6か月)では、申出に応じて、妊娠・出産・育児・介護と両立できるよう必要な配慮をしなければならない。

14条

業務委託に関して行われる言動(ハラスメント等)に起因する問題について、相談に応じ適切に対応するために必要な体制の整備その他の措置を講じなければならない。

16条1項

継続的業務委託に係る契約の解除(契約期間の満了後に更新しない場合を含む)をしようとする場合は、少なくとも30日前までに予告しなければならない。ただし、災害その他やむを得ない事由などの例外がある。

4条以下の規定は、特定業務委託事業者(従業員を使用する個人、または二以上の役員もしくは従業員のある法人)が対象です。3条の明示は、従業員を使用しない発注者も対象です。政令の期間は、特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律施行令(1条・3条)に定められています。

フリーランス法の規定を契約書に落とすときの要点

  • 明示事項:給付の内容(事務代行では、業務の範囲・頻度・報告の方法)、報酬の額(または算定方法)、支払期日を、契約の成立と同時(または直ちに)に書面や電磁的方法で示す。契約書と個別の依頼書で足りることが多いが、内容が定まらない事項は、定まった後に直ちに明示する。
  • 支払期日:従業員を使用する特定業務委託事業者が委託する場合、支払期日は役務の提供を受けた日から60日の期間内で、できる限り短く定める(4条1項)。月額契約で毎月末日に締めて翌月末日に支払う月単位の締切制度は、公正取引委員会の運用上「受領から2か月以内」として扱われ、問題とされない(フリーランス法Q&A Q48)。翌々月の支払にすると60日の枠を超える。締め日と支払日の定め、請求書の提出期限と合わせて確認する。
  • 報酬の減額・やり直し:特定受託事業者に責任がないのに、報酬を減らしたり、給付の内容を変更したり、受領後にやり直しをさせたりする運用は、5条1項・2項(いずれも1か月以上の業務委託が対象)で禁止される行為に当たり得る。契約書の「無償の修正」の条項と関係する。
  • 継続的な委託の解除予告:継続的業務委託(政令で6か月以上)で契約を解除する、または期間満了後に更新しない場合は、少なくとも30日前までの予告が必要。契約書の解約の予告期間が30日未満だと、法律の規定とずれる。予告の方法は、書面、ファクシミリ、電子メール等の方法による(厚生労働省関係の施行規則3条)。
  • 配慮とハラスメントの対応:継続的な委託では、育児・介護との両立の申出に応じた配慮と、相談の窓口を含む体制の整備が必要になる。契約書にすべてを書く必要はないが、窓口や申出の方法を、業務のマニュアルや依頼書に置く。

条文例第○条(業務の条件の明示と報酬の支払期日)

  1. 委託者は、本業務を委託する際、業務の内容、報酬の額(または算定方法)、支払期日、その他の取引条件を、書面または電磁的方法により受託者に明示する。条件が定まっていない事項は、定まった後、直ちに明示する。
  2. 委託者は、毎月末日までに受託者から役務の提供を受けた分の報酬を、翌月末日までに支払う。
  3. 委託者は、受託者の責めに帰すべき事由がないのに、報酬の額を減ずる、または受託者の給付の内容を変更させる、もしくはやり直しをさせることをしない。
  4. 委託者が本契約を期間満了後に更新しない場合を含め、解除しようとするときは、少なくとも○日前までに、書面または電子メールで受託者に予告する。

支払期日は、法律の定める期間を超えない日付で定めます。予告の「○日」は、法律の規定を下回らない日数で、取引の実態に合わせて決める箇所です。

顧客から受けた事務を、他の事業者に回すとき:取適法

事務代行の事業者が、顧客から受けた事務の一部を、別の事業者(個人を含む)に再委託することがあります。この場面では、取適法の「役務提供委託」に当たるかが問題になります。

取適法2条4項は、役務提供委託を、事業者が業として行う提供の目的たる役務の提供の行為の全部又は一部を他の事業者に委託することと定義しています(建設業の建設工事の請負を除く)。つまり、自分が顧客に有償で提供している役務を、他の事業者に委託する場面が典型です。事務代行を顧客から受け、その作業の一部を別の事業者に任せる場面は、この定義に当たり得ます。

一方、自社の内部で使うために、事務を他の事業者に委託する場合(自社の経理や総務の事務を外部に任せる場合など)は、条文の定義だけでは「業として行う提供の目的たる役務」かどうかが明らかではありません。この場合に役務提供委託に当たるか、また当たるとしても、委託事業者と中小受託事業者の区分に該当するかは、委託の内容と当事者の規模によって個別に分かれます。

取適法の主な規定(条文の要旨)

2条4項

役務提供委託の定義。事業者が業として行う提供の目的たる役務の提供の行為の全部または一部を他の事業者に委託すること。

2条8項・9項

委託事業者と中小受託事業者の区分。資本金の額または出資の総額による区分(8項1号〜4号、9項1号〜4号)と、常時使用する従業員の数による区分(8項5号・6号、9項5号・6号)があり、いずれかに該当すれば足りる。役務提供委託のうち政令で定める役務に係るものは1号・2号・5号(資本金3億円超、1000万円超3億円以下、従業員300人超)、それ以外は3号・4号・6号(資本金5000万円超、1000万円超5000万円以下、従業員100人超)で区分される。

3条

代金の支払期日は、役務の提供を受けた日から起算して60日の期間内で、できる限り短い期間内に定めなければならない。

4条

委託事業者は、直ちに、給付の内容、代金の額、支払期日および支払方法その他の事項を、書面または電磁的方法で明示しなければならない。

5条1項・2項

委託事業者の遵守事項。役務提供委託では、受領拒否(1号)と物の引取り(4号)は対象外。代金の減額、著しく低い代金の不当な決定、不利益な取扱い、給付内容の変更ややり直し、協議に応じない一方的な代金の決定の禁止などが含まれる。

取適法は、旧・下請法が2026年1月1日から改称・改正されたものです。条文の細目と、資本金や従業員数による区分の当てはめは、公正取引委員会・中小企業庁の資料の原文で確認が必要です。

ここで注意するのは、次の点です。

  • 区分に当たらなければ適用されない:取適法は、委託事業者と中小受託事業者の資本金の額または従業員数が、条文の区分に該当するときに適用される。事務代行の事業者どうしの取引がすべて対象になるわけではない。
  • 支払期日の考え方:取適法3条は、役務の提供を受けた日から60日の期間内で定めるとしています。連続して役務を提供する契約で、月単位の締めと算定方法を明示する場合の扱いは運用基準に別に置かれており、フリーランス法のQ&Aの整理(月末締め・翌月末払いは受領から2か月以内として扱われる)とは分けて確認します。契約書では、どの日を起算日とするかをあいまいにしない。
  • 明示事項には支払方法が含まれる:取適法4条は、支払方法を明示事項に挙げている。振込か、手数料の負担はどちらか、といった点を契約書に書いておく。
  • 相手が個人の事業者なら、フリーランス法も関係する:特定業務委託事業者が、他の事業者(元委託者)から受けた業務の全部または一部を特定受託事業者に再委託した場合には、一定の事項を明示したうえで、報酬の支払期日を、元委託支払期日から30日の期間内で定めることができる(フリーランス法4条3項)。この規定を使うには、3条の明示で、再委託である旨、元委託者の氏名または名称、元委託支払期日などを示す必要がある。
  • 二つの法律が重なる場面:取適法とフリーランス法の両方の定義に当たり得る取引の運用は、公正取引委員会、中小企業庁、厚生労働省の資料で確認が必要です。

確認の問いと理由再委託する前に、確かめておく問い

  1. この事務は、自分が顧客に有償で提供している役務の一部か。

    取適法2条4項の「業として行う提供の目的たる役務」に当たるかを見る入口になるため。

  2. 相手方は、従業員を使わない個人か、一人法人か。

    フリーランス法の特定受託事業者に当たるかを見る入口になるため。

  3. 自分と相手方の資本金の額、従業員数は、取適法の区分に当たるか。

    区分に当たらなければ取適法は適用されない。当たる場合は、支払期日、明示事項、遵守事項が契約書に影響する。

  4. 顧客からの支払期日と、相手方への支払期日は、どう整合するか。

    再委託の報酬の支払期日が、顧客からの入金に左右されると、法定の期間を超えるおそれがあるため。

  5. 相手方に、再委託であること、元の依頼者の名称、元の支払期日を、明示したか。

    フリーランス法4条3項の特例を使うには、3条での明示が要件になっているため。

雇用・派遣と見られない運用:契約の名称より実態

事務代行は、時間や場所、手順が似通っているため、雇用に近い運用になりやすい業務です。労働基準法9条は、「労働者」を、事業または事務所に使用される者で、賃金を支払われる者と定義しています。契約書の名称が「業務委託」や「準委任」であっても、この定義に当たるかどうかは、契約書の名称ではなく、実態で判断されます。判断の基準は、厚生労働省などの資料に整理されているため、具体的な当てはめは、所管官庁の資料で確認が必要です。

また、労働者派遣法は、派遣を、自己の雇用する労働者を、その雇用関係の下で、他人の指揮命令を受けて、その他人のために労働に従事させることと定義し(2条1号)、派遣元事業主以外の労働者派遣事業を行う事業主から労働者派遣の役務の提供を受けることを禁止しています(24条の2)。請負や業務委託の形式でも、発注者が受託者の側の人員に直接の指揮命令をする実態があれば、派遣との区分が問題になります。

契約書を作る側にとっては、ここで判断をする必要はありません。契約書の中で、独立した事業者としての関係を、運用に合わせて表現しておくことが課題です。

書き方の例(一般的な例) 独立性を損なわない書き方

作業の時間と場所

よくある書き方「受託者は、委託者の営業時間中、委託者の事務所で業務を行う」と書く。
整えた書き方「受託者は、業務の遂行の時間配分と場所を、自らの裁量で決める。ただし、会議への出席など、業務の性質上必要なものは、別に調整する」と書く。

理由時間と場所の拘束は、雇用に近い実態の要素になりやすい。必要な拘束は、業務上の必要性とともに書く。

指示の方法

よくある書き方「受託者は、委託者の指示に従う」とだけ書く。
整えた書き方「委託者は、業務の目的、範囲、期限、品質の水準を示す。受託者は、その範囲で、方法を自らの裁量と責任で決める」と書く。

理由具体的な作業の手順まで逐一指示する関係は、指揮命令に近づく。

他の仕事の制限

よくある書き方「受託者は、委託者の許可なく、他の業務を受けてはならない」と書く。
整えた書き方「受託者は、本業務の遂行に支障がない範囲で、他の業務を受けることができる。ただし、秘密保持と競業の定めは別に守る」と書く。

理由専属性は、使用される関係の要素になり得る。

拒否の自由

よくある書き方依頼を断る場合の定めを置かない。
整えた書き方「受託者は、業務の範囲外の依頼や、実行が困難な依頼を、理由を示して断ることができる」と書く。

理由依頼を断れない関係は、拘束の度合いを高める。

これらは、契約書に書くだけで足りるものではなく、運用が書いた内容と一致していることが前提です。契約の形式と運用がずれたまま、独立性だけを書き込んでも、実態が優先されます。再委託の場面での指揮命令の整理は再委託とチーム化のページ、業務の範囲と指示の窓口の決め方は業務範囲のページで扱っています。

書面・電磁的方法による明示:何を、いつまでに、どう示すか

フリーランス法3条も、取適法4条も、取引条件を書面または電磁的方法で明示することを求めています。契約書だけでなく、メール、チャット、クラウド上のフォームなども、公正取引委員会規則で定める方法に当たれば、明示の方法になり得ます。事務代行は、日々の依頼がチャットやメールで行われることが多いため、次の点を整理しておくと、運用が安定します。

取引条件の明示の流れの例

  1. 基本契約の締結業務の範囲、報酬の算定方法、支払期日、解約の予告などの共通の条件を、契約書にまとめる。
  2. 個別の依頼の明示具体的な依頼ごとに、給付の内容、報酬、期限を、依頼書やチャットで示す。定まらない事項は、定まった後、直ちに示す。
  3. 記録の保存明示した内容と、受託者からの確認の返信を、検索できる形で残す。
  4. 変更の明示範囲や報酬が変わるときは、変更後の内容を、同じ方法で示し、受託者の同意を得る。
  5. 書面の求めへの対応電磁的方法で示した場合に、相手方から書面の交付を求められたときは、遅滞なく書面を交付する(フリーランス法3条2項、取適法4条2項)。

明示の方法の細目(電磁的方法の範囲、書面の交付が不要となる場合など)は、公正取引委員会規則で定められています。契約書の運用に入れる前に、規則の原文で確認が必要です。

起きがちなこと

法律の関係で起きがちなこと

  • 発注側が、業務委託契約書を結べば足りると考え、取引条件の明示や支払期日の定めを、法律の規定に合わせて見直していない。
  • 月額契約の支払期日を、月末締め翌々月払いのように、法定の期間を超える日にしている。
  • 継続的な委託で、契約書の解約の予告が短いまま、法律の予告の規定を見落としている。
  • 顧客から受けた事務を他の事業者に回しているのに、取適法の役務提供委託の定義に当たるかを確かめていない。
  • 再委託の報酬の支払期日が、顧客からの入金待ちになっており、再委託先への支払が遅れる。
  • 「業務委託」と書いたまま、時間や場所、手順を細かく指定し、専属的に働かせる運用になっている。
  • 個人の受託者に対して、報酬の減額ややり直しを、契約書の「無償の修正」の定めだけで運用している。

立場ごとの法律を確かめるときの確認事項

  • 自分が、自社の事務を任せる側か、顧客から受けた事務を回す側か、受ける側かを区別したか。
  • 相手方が、従業員を使わない個人または一人法人かを確かめたか。
  • 取引条件(給付の内容、報酬の額、支払期日、支払方法)を、書面または電磁的方法で明示する運用があるか。
  • 報酬の支払期日が、役務の提供を受けた日から起算して法定の期間内か。
  • 継続的な委託の解除・不更新の予告の期間が、法律の規定を下回っていないか。
  • 育児・介護の配慮の申出とハラスメントの相談の窓口を、運用に置いたか。
  • 契約書の独立性の書き方と、運用の実態が一致しているか。

委託する報酬の単位と支払条件の設計は報酬の決め方のページ、契約が終わるときの清算は終了と引継ぎのページ、全体の枠組みは全体像のページで整理しています。

よくあるご質問

自社の事務を、フリーランスの個人に任せるとき、どの法律が関係しますか。

相手方が従業員を使用しない個人(または一人法人)であれば、フリーランス法が関係します。取引条件の明示(3条。従業員を使わない発注者も対象)、報酬の支払期日(4条。従業員を使用する特定業務委託事業者が対象)、1か月以上の業務委託での遵守事項(5条。同じく特定業務委託事業者が対象)、継続的業務委託での配慮(13条)、ハラスメント対応(14条)、解除の予告(16条)が主な規定です。事務代行のような役務の提供の委託も業務委託に含まれます(2条3項2号)。発注者の規模や委託の期間によって適用される規定が異なるため、条文で確認します。

顧客から受けた事務を別の事業者に再委託するとき、取適法は必ず適用されますか。

必ずではありません。取適法の役務提供委託は、事業者が業として行う提供の目的たる役務の提供の行為の全部または一部を他の事業者に委託することと定義されています(2条4項)。そのうえで、委託事業者と中小受託事業者の資本金の額または従業員数の区分に該当するときに適用されます(同条8項・9項)。自社の内部で使う事務の委託が役務提供委託に当たるかは、委託の内容によって個別に分かれます。

継続的な業務委託を終わらせるとき、予告は必要ですか。

相手方が特定受託事業者で、委託が政令で定める期間(6か月)以上の継続的業務委託であれば、解除や更新しない場合は、少なくとも30日前までの予告が必要です(フリーランス法16条1項、同法施行令3条)。災害その他やむを得ない事由などの例外があります。予告は、書面、ファクシミリ、電子メール等の方法で行います。契約書の解約予告の期間が30日より短い場合は、法律の規定に合わせて見直します。

「業務委託契約」と書けば、雇用や派遣と見られる心配はなくなりますか。

なりません。労働基準法9条の労働者は、事業に使用される者で賃金を支払われる者と定義され、契約の名称ではなく実態で判断されます。労働者派遣法も、他人の指揮命令を受けて労働に従事させる実態があるかで派遣を定義しています(2条1号)。契約書では、時間配分と場所、方法の裁量、依頼を断る自由などを書き、運用も書いた内容に合わせることが前提です。具体的な当てはめは、所管官庁の資料で確認が必要です。

契約書や依頼書以外に、メールやチャットで取引条件を示しても、明示したことになりますか。

フリーランス法3条は、書面または電磁的方法による明示を求めており、電磁的方法は公正取引委員会規則で定める方法とされています。取適法4条も同様です。メールやチャットが規則の定める方法に当たるかは、規則の原文で確認が必要です。電磁的方法で示した場合に、相手方から書面の交付を求められたときは、遅滞なく交付する必要があります(フリーランス法3条2項、取適法4条2項)。

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本ページは一般的な情報提供です。個別の取引への当てはめは、業務の内容や預けるものの種類、当事者の事業の形によって異なることがあります。書き方の例として紹介している内容は、一般に見られる書き方を整理した例で、特定の事業者や案件を示すものではありません。条文は e-Gov法令検索で確認しています。参考: e-Gov法令検索 / 個人情報保護委員会 / 公正取引委員会 / 厚生労働省

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