事務・秘書・経理補助などを任せる方、受ける方へ預けるものと終わり方まで決める、
事務代行の契約書
オンライン秘書、事務代行、経理の補助、採用事務、問い合わせ対応といったバックオフィス業務は、成果物の形が残らないため、契約書で決めておかないと「どこまでが業務か」「誰のミスか」「終わったあとにアカウントとデータはどうなるか」が争点になります。このガイドは、任せる側と受ける側の両方が同じ表で確認できるように、「任せる範囲」「預けるもの」「報酬」「事故」「終わり方」の5つの軸で業務委託の契約を整理した解説集です。業務範囲の書き方、資格者でなければ行えない業務との線引きの書き方、成果物のない業務の報酬の単位、資料・アカウント・個人データ・お金という4種類の預かり物の設計、再委託とチーム化、民法の準委任の考え方、フリーランス法・取適法・労働者派遣法・個人情報保護法との関係、ミスの責任と報告、契約の終わり方と引継ぎまでを、条文を確認しながら順に説明します。
事務や秘書業務を任せたい方・受けたい方

任せる範囲・預けるもの・報酬・事故・終わり方の5つの軸
事務、経理の補助、秘書業務は、納品物がなく、日々の作業が積み重なる仕事です。契約書で何を決めればよいのかが分かりにくいため、任せる範囲、預けるもの、報酬、事故、終わり方の5つの軸に分けて整理します。
業務委託、準委任、請負の見分け方、契約書と個別の依頼書と業務マニュアルの3層構造、任せても委託者に残る責任も、最初に押さえておきます。
「事務全般」と書いて困りたくない方

定型・判断・例外の三分類と、範囲外の依頼の手順
「事務全般」「これに付随する一切の業務」という書き方は、何でも頼まれる状態にも、頼んだことをやってもらえない状態にもつながります。定型業務、判断を伴う業務、例外対応に分けて範囲を書きます。
受付時間、返信の期限、定例報告、指示を出す窓口の一本化、範囲外の依頼が来たときの記録の残し方も決めておきます。
報酬の単位と繁閑の扱いを決めたい方

定額・時間・件数・日額と、超過・繰越・中途終了
成果物のない業務に「検収」の条項が残っていたり、月額なのに件数が増えたときの扱いが決まっていなかったりします。準委任の報酬の考え方をもとに、報酬の単位ごとの書き方を比べます。
資料の遅れで処理が翌月に回ったときの数え方、立替経費の負担、報酬の遅れによる業務の一時停止も整理します。
資料・アカウント・個人データ・お金を預ける方

預けるものを4つに分けて、権限と戻し方を決める
事務を任せると、紙の資料や原本、システムのアカウント、顧客や従業員の個人データ、立替や振込に関わるお金を預けることになります。預けるものごとに、誰が、どの権限で、いつまで扱うかを決めます。
終了のときには、貸与資料の返却、アカウントの失効、データの消去と完了報告までが必要です。
再委託・チーム化・関係する法律を確かめたい方

再委託の三類型と、立場ごとに及ぶ法律
個人で受けていた事務をチームにしたいとき、任せた相手が別の人に回していたとき、再委託の書き方が問われます。禁止、事前承諾、自由の三類型と実務の落としどころを整理します。
自社の事務を個人に任せる場合と、顧客から受けた事務を他の事業者に回す場合とで、フリーランス法や取適法の及び方が変わります。雇用や派遣と見られない運用の考え方も扱います。
ミスや終了のときの取り決めを置きたい方

責任の段階化、報告の手順、引継ぎとデータの消去
誤送信、入力ミス、期限の徒過、漏えいのときに、誰がどこまで負うのかを、軽微なミスと重大なミスに分けて決めます。損害賠償の上限と、上限から除く場面も書きます。
契約の終わり方では、いつでもやめられるのかという問いに加え、引継ぎ資料、アカウントの失効、データの消去、完了報告までを決めておきます。
このガイドの解説ページ
よくあるご質問
事務代行やオンライン秘書の契約は、請負と準委任のどちらになりますか?
契約書の名前ではなく、内容で決まります。事務を処理すること自体を任せる契約は準委任(民法656条、委任の規定の準用)に当たることが多く、仕事の完成を約束して結果に報酬を払う契約は請負(民法632条)に当たります。成果物のない日々の事務に、請負型の「納品・検収・無償の修正」の条項を入れると、報酬の単位や責任の範囲が食い違いやすくなります。見分け方は全体像のページで整理します。
契約書に「事務全般」と書いておけば足りますか?
足りないことが多くあります。範囲が広く書かれていると、何でも頼まれる状態と、頼んだことをやってもらえない状態の両方が生じ得ます。定型業務、判断を伴う業務、例外対応に分けて書き、範囲外の依頼が来たときに別途合意するのか追加の報酬を決めるのかを手順として置くと、争点が減ります。業務範囲のページで書き方を整理します。
事務を任せるとき、ID・パスワードを渡してもよいですか?
共有のID・パスワードの受渡しは、誰が何をしたか分からなくなり、終了時にも失効させにくいため、避けるのが基本です。個別のIDを発行し、権限を最小にして、管理者の権限は任せる側に残す設計が考えられます。終了時にアカウントを失効させ、パスワードを変更する手順まで契約書に書いておきます。アカウントのページで整理します。
顧客名簿や従業員の情報を事務代行に渡すと、個人情報保護法上はどうなりますか?
利用目的の達成に必要な範囲で個人データの取扱いを委託するときは、その提供は第三者提供に当たらないとされています(個人情報保護法27条5項1号)。ただし、委託元は委託先に対する必要かつ適切な監督を行う義務を負います(同法25条)。契約書や覚書に、安全管理措置、従業者の監督、漏えい時の連絡、返却・消去を項目として落とします。
事務代行の契約は、いつでもやめられますか?
委任の規定を準用する準委任では、各当事者がいつでも契約を解除できるのが原則です(民法651条1項)が、相手方に不利な時期に解除したときは損害賠償の問題が生じ得ます(同条2項)。また、継続的な業務委託には、フリーランス法による解除等の予告の定めが及ぶ場合があります。中途で終わったときの報酬の清算、引継ぎ、アカウントとデータの消去は、契約の終わり方のページで整理します。
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運営事務所・ご相談のご案内監修:アトラス行政書士法人(代表社員 荒木素子・特定行政書士) 最終確認日:2026年10月15日