このページの要点
- 委任はいつでも解除できるが、相手方に不利な時期の解除は損害賠償の問題になり得る(民法651条)。予告期間を置いて調整する。
- 中途終了の報酬は、既にした履行の割合が出発点(民法648条3項2号)。日割りか全額か、前払いの返金をどうするかを書く。
- 継続的な業務委託で相手方が特定受託事業者なら、30日前までの予告が必要な場面がある(フリーランス法16条)。契約書の予告期間と整合させる。
- 返却・失効・消去・引継ぎ・完了報告の5点を、期限付きで書く。存続させる条項は見出し付きで列挙する。
結論:事務代行の契約は「いつでもやめられる」が出発点で、問題は終わらせ方にあります
事務代行やオンライン秘書の契約は、準委任として整理されることが多く、準委任には委任の規定が準用されます(民法656条)。委任は、各当事者がいつでも解除できるのが原則です(民法651条1項)。そのため、「いつでもやめられるのか」という問いへの答えは、法律の上では「原則としてできる」です。ところが、実際のトラブルは、やめられるかどうかではなく、やめるときに何を清算し、何を戻し、何を消すかで起きています。
結論を先に挙げると、次のとおりです。
- 委任の解除は自由だが、相手方に不利な時期に解除したときは、やむを得ない事由がない限り、損害賠償の問題が生じ得る(民法651条2項1号)。契約書で、解約の予告期間を置いて調整する。
- 中途で終了したときの報酬は、既にした履行の割合に応じて請求できる(民法648条3項2号)。月額の報酬では、日割りにするのか、月の途中の終了でも全額とするのかを、契約書に書く。
- 継続的な業務委託で相手方が特定受託事業者なら、解除や更新しない場合の30日前までの予告が法律上必要になる場面がある(フリーランス法16条)。契約書の予告期間と整合させる。
- 終了のときに決めておくのは、引継ぎ資料・貸与資料の返却・アカウントの失効・データの消去・完了報告の5点。特にアカウントとデータは、契約が終わっても残り続けるため、手順と期限を書く。
- 終了後も続く義務(秘密保持、個人情報の管理など)は、存続する条項と期間を明示する。
このページが扱う軸
終わり方
解約・解除の方法、予告、中途終了の報酬の清算、引継ぎ、預けたものの返却と消去、終了後に続く義務。
置き場所期間・解約・解除、報酬の清算、返却・消去、存続の各条項
預けるものを管理する条項そのものは、それぞれのガイドで扱います。ここでは、契約の終了に伴う処理を扱います。
やめ方の種類:期間満了・任意の解約・債務不履行による解除
契約を終わらせる方法は、一つではありません。それぞれ、要件と効果が違うため、契約書では分けて書きます。
契約の終わり方の種類
| 終わり方 | 典型的な場面 | 民法・契約書での位置づけ | 清算で気をつけること |
|---|---|---|---|
| 期間満了(更新しない) | 期間の定めのある契約で、更新の合意をしない。自動更新を止める。 | 契約書の期間と更新の条項。更新しない旨の通知の期限が書かれていることが多い。 | 更新しない通知の期限と方法。継続的な委託で、相手が特定受託事業者なら、予告の規定が関係する。 |
| 任意の解約 | 相手方に落ち度がなくても、都合でやめる。 | 委任は各当事者がいつでも解除できる(民法651条1項)。契約書で予告期間を定めて調整することが多い。 | 予告期間、不利な時期の解除、中途の報酬の清算。 |
| 債務不履行による解除 | 重大な違反があり、是正されない。 | 履行がない場合の解除(民法541条・542条)と、契約書の解除事由。催告の要否を契約書で整える。 | 解除と損害賠償は両立する(民法545条4項)。清算と返却を並行して進める。 |
| 即時の解除 | 秘密保持や個人情報の重大な違反、反社会的勢力との関係が判明した。 | 契約書の解除事由に列挙する。 | 即時に権限を止める必要があるため、アカウントの失効を最優先にする。 |
| 当事者の事情による終了 | 受託者または委託者が、破産手続開始の決定を受けた、受託者が後見開始の審判を受けた、死亡した。 | 委任は、これらの事由によって終了する(民法653条)。 | 契約書に、当事者が個人の場合の死亡・事情変更への備えを書く。預けたものの返却を誰に求めるかも決める。 |
表の二行目の任意の解約について、契約書に何も書かなければ、民法651条が適用されます。しかし、事務代行の実務では、一方的に明日からやめると言われると、委託者は代わりの担当者を見つける時間がなく、受託者は他の仕事の調整が間に合いません。そのため、予告期間(例:○日前までに書面または電子メールで通知)を定めるのが一般的です。予告期間を置いた場合、予告なしの解約や、予告期間より短い解約について、どう扱うか(予告期間に相当する報酬を支払う、など)も書いておくと、争いが減ります。
終了に関する民法の規定(条文の要旨)
民法651条1項・2項
委任は、各当事者がいつでもその解除をすることができる。解除をした者は、相手方に不利な時期に解除したとき、または委任者が受任者の利益(専ら報酬を得ることによるものを除く)をも目的とする委任を解除したときは、やむを得ない事由があったときを除き、相手方の損害を賠償しなければならない。
民法648条2項・3項
受任者は、報酬を受けるべき場合には、委任事務を履行した後でなければ請求できない。ただし、期間によって報酬を定めたときは、624条2項を準用する。委任者の責めに帰することができない事由により履行ができなくなったとき、または委任が履行の中途で終了したときは、既にした履行の割合に応じて報酬を請求できる。
民法645条
受任者は、委任者の請求があるときはいつでも委任事務の処理の状況を報告し、委任が終了した後は、遅滞なくその経過および結果を報告しなければならない。
民法646条1項
受任者は、委任事務を処理するに当たって受け取った金銭その他の物を委任者に引き渡さなければならない。
民法653条
委任は、委任者または受任者の死亡、委任者または受任者が破産手続開始の決定を受けたこと、受任者が後見開始の審判を受けたことによって終了する。
中途で終了したときの報酬の清算
月額で報酬を定めている事務代行で、月の途中に契約が終了した場合、その月の報酬をどうするかは、よく争われる点です。民法648条3項2号は、委任が履行の中途で終了したときは、既にした履行の割合に応じて報酬を請求できると定めています。これが、契約書に何も書かないときの出発点になります。
契約書で、これをそのまま使うのか、別の清算方法に変えるのかを、決めておきます。主な選択肢は次のとおりです。
書き方の例(一般的な例) 中途終了の報酬の書き方
月額の報酬
理由日割りか全額かを決めておく。全額とする場合は、委託者の負担が大きくなるため、予告期間の有無と合わせて合理性を考える。
時間制・件数制
理由着手したが完了していない業務の扱いを決める。未完了分は、一定の割合の報酬を支払う、または全額を支払う、などがある。
前払いの報酬
理由返金の対象と期限を決めておく。
不利な時期の解約
理由不利な時期の解除に伴う損害賠償(民法651条2項)の内容を、あらかじめ定める。
報酬の単位や、立替経費の精算の考え方は報酬の決め方のページ、お金に触れる業務の精算はお金の扱いのページで扱っています。ここでは、終了の時点での清算に絞ります。
予告期間と、フリーランス法16条の予告の整合
契約書の予告期間は、法律の規定を下回ることはできません。相手方が特定受託事業者で、委託が継続的業務委託(政令で6か月以上)に当たる場合、特定業務委託事業者は、契約を解除しようとするとき、または契約期間の満了後に更新しない場合には、少なくとも30日前までに予告しなければなりません(フリーランス法16条1項、同法施行令3条)。予告は、書面、ファクシミリ、電子メール等の方法で行います(厚生労働省関係の施行規則3条)。
- 例外:災害その他やむを得ない事由により予告することが困難な場合、受託者の責めに帰すべき事由により直ちに契約の解除をする必要がある場合などは、予告が不要になる(同施行規則4条)。契約書の即時解除の事由は、この例外の範囲を意識して書く。
- 解除の理由の開示:特定受託事業者が、予告の日から契約が満了する日までの間に、解除の理由の開示を請求したときは、遅滞なく開示する必要がある(法16条2項)。ただし、第三者の利益を害するおそれがある場合などは、開示しないことができる(同施行規則6条)。
- 契約書の予告期間が短い場合:契約書の予告期間が15日などの短い期間であっても、法律の予告が必要な場面では、30日前の予告が求められる。契約書の期間を法律に合わせて見直す。
- 受託者から解約する場合:16条の予告義務は、特定業務委託事業者が負う義務であり、受託者(特定受託事業者)が解約する場合の予告期間は、契約書で定める。受託者の都合による急な解約が、委託者に過大な負担を与えないよう、合理的な期間を置く。
16条の規定は、発注する側の義務を定めたものですが、受ける側の契約書にも関係します。受ける側が、発注者からの契約書に、30日未満の予告期間や、理由の開示を認めない条項があるのを見つけたとき、法律の規定との関係を確かめる根拠になります。立場ごとの法律の及び方は関係する法律のページで整理しています。
引継ぎ:資料、マニュアル、業務履歴、進行中の案件
契約が終わるときに最も大切なのは、委託者が、別の担当者(または自社)で業務を続けられる状態になっていることです。民法645条は、委任が終了した後に、受任者が遅滞なく経過と結果を報告する義務を定めています。事務代行では、この義務を実際の引継ぎの作業に落とし込みます。
契約終了のときの引継ぎの流れの例
- 終了の通知と日程の確認解約の通知、終了日、引継ぎの期間(終了日までの稼働の扱い)を、双方で確認する。
- 業務の一覧と進行中の案件の整理定期的な業務、進行中の案件、未着手の依頼、期限が近いものを、一覧にまとめる。
- マニュアルと業務履歴の引渡し手順書、設定の記録、取引先との連絡の履歴、使用したテンプレートなどを、委託者に引き渡す。受託者の既存のノウハウ(汎用のテンプレートや手法)は、受託者に残すものと明記する。
- 貸与資料・預かり物の返却紙の資料、原本、データを返却する。台帳に基づいて、返却したものを一つずつ確認する。
- アカウントの失効とパスワードの変更受託者が使っていたID・権限を失効させ、共有していたパスワード(もしあれば)を変更する。
- データの消去と完了報告受託者の端末や保存場所にある委託者の情報を消去し、消去したことを書面(または電子メール)で報告する。
各ステップの期限(終了日からの日数)を、契約書または別紙に書いておくと、双方が動けます。
引継ぎ資料の範囲と、受託者のノウハウの線引き
引継ぎで争いになりやすいのは、「業務のために作ったものは、すべて委託者に渡すのか」という点です。委託者は、業務を継続するために必要な資料の引渡しを求めます。受託者は、自分が積み上げた汎用の手順、テンプレート、ツールの設定などは、他の顧客の業務にも使うため、渡したくありません。次のように、範囲を分けて書くと、運用しやすくなります。
- 委託者に引き渡すもの:委託者の業務のために作成した資料、委託者の情報を含む記録、取引先とのやり取りの履歴、業務の手順書のうち委託者固有の部分。
- 受託者に残すもの:受託者が従来から持つ汎用のテンプレート、手法、ツールの設定。委託者の情報を含まない形のもの。
- どちらとも言えないもの:双方で作り込んだマニュアルなど。権利の帰属と、利用の範囲(委託者が自社で使い続ける、受託者が汎用の部分を使い回す)を定める。
アカウントの失効・データの消去・完了報告
事務代行の契約が終わっても、アカウントとデータは自動的には消えません。アカウントが残れば、元の担当者がログインできる状態が続きます。データが残れば、受託者の端末やクラウドに、委託者の情報が保管され続けます。個人情報保護法22条は、個人データについて、利用する必要がなくなったときは遅滞なく消去するよう努めるべきことを定めています。契約書では、この趣旨を具体的な手順として書きます。
条文例第○条(契約終了時の処理)
- 本契約が終了したとき(解約、解除、期間満了その他理由を問わない。)、受託者は、終了日から○日以内に、次の各号の措置を講じ、委託者に書面(電磁的方法を含む。)で報告する。
(1) 貸与資料等の返却(返却できないものは、委託者の指示に従った廃棄)
(2) 本業務のために付与された委託者のアカウント、権限、アクセス情報の返還または失効
(3) 受託者の管理下にある委託者の情報(個人データを含む。)の消去
(4) 引継ぎ資料の引渡し - 委託者は、前項の措置が行われるよう、アカウントの失効の確認、パスワードの変更その他必要な措置を、自らの責任で講じる。
- 受託者は、法令により保存が義務づけられている情報その他委託者が書面で承諾した情報を除き、前項の消去を完了する。消去できない情報がある場合は、その内容、理由、保管の期間を委託者に通知し、保管している間も本契約の義務に従う。
- 受託者は、消去したことを、消去の日時、対象、方法を記載した書面(電磁的方法を含む。)により委託者に報告する。委託者は、必要があるときは、その確認のための合理的な協力を求めることができる。
第2項のように、アカウントの失効は、委託者側でも確認・実行する形にしておくと、権限が残る事態を避けられます。
データの消去に関して、実務では、次の点が問題になります。
- バックアップ:クラウドのバックアップ、端末のバックアップに残るデータは、直ちに消せないことがある。「バックアップは、通常のサイクルで順次上書き消去され、それまでの間は本契約の義務に従う」といった書き方がある。
- チャット・会議ツールの履歴:業務の連絡に使ったチャットや会議の記録に、委託者の情報が含まれる。履歴を消去するのか、アクセス権を外すのか、保存を続けるのかを決める。
- 受託者が法令上の保存義務を負う情報:受託者自身が保存する義務のある帳簿などがある場合は、その範囲に限って保存を認める。
- 再委託先が持つ情報:再委託先にも、返却と消去を義務づけ、完了の報告を受ける。再委託の条項は再委託とチーム化のページで扱っています。
- 消去の証明:消去の完了を「書面で報告」するだけで足りるのか、消去の記録(ログ)の写しまで求めるのか。預けた情報の重さに応じて決める。
資料の返却と廃棄の証明は資料の預かりのページ、アカウントの権限の設計はアカウントと権限のページ、個人データの消去は個人情報の委託のページで、それぞれ詳しく扱っています。
終了後も続く義務:存続条項と期間
契約が終了すれば、多くの義務はなくなりますが、いくつかの義務は、終了後も続ける必要があります。何を存続させ、どれだけの期間続けるかを、存続条項に書きます。
存続させる義務の例
| 義務 | 存続させる理由 | 期間の考え方 |
|---|---|---|
| 秘密保持 | 業務で知った委託者の秘密情報は、終了後も外に出さないことが前提になっているため。 | 一定の年数とする書き方と、期間を定めない書き方がある。個人データや営業秘密は、期間を限定しない扱いもある。 |
| 個人情報の管理 | 返却・消去が完了するまで、安全管理の義務が続くため。 | 返却・消去の完了まで。消去できないものがある場合は、保管している間。 |
| 返却・消去・引継ぎ | 終了後に実施するものであるため。 | 終了後○日以内に完了するまで。 |
| 損害賠償・違約金 | 終了前の違反に基づく請求は、終了後も残るため。 | 請求できる期間は、法律の消滅時効の規定に従う。契約で短縮する場合は合理性を考える。 |
| 競業・直接取引の禁止 | 終了後の一定期間、同じ顧客や担当者との取引を制限する場合に必要。 | 期間と範囲が合理的であることが前提。長すぎる期間や広すぎる範囲は、有効性が争われやすい。 |
存続させる条項の列挙で、よくある誤りは、「存続する条項」に挙げた条の番号が、条文の挿入や削除で、ずれてしまうことです。条の番号で列挙するよりも、「第○条(秘密保持)」のように見出しを併記する、または「その性質上存続すべき条項」と包括的に書く方法も併用すると、誤りが起きにくくなります。
確認の問いと理由契約の終わり方の条項を置くときの確認の問い
解約の予告期間は何日か。法律の予告の規定を下回っていないか。
継続的な委託で相手方が特定受託事業者なら、30日前までの予告が必要になる場面があるため。
予告期間を満たさない解約をしたとき、何が起きるか。
民法651条2項の不利な時期の解除の問題を、契約書の取り決めで予測可能にするため。
月の途中で終了したとき、報酬は日割りか、全額か。
民法648条3項2号の履行の割合を使うのか、別の清算にするのかを決めるため。
引き渡すもの・受託者に残すものを、分けて書いたか。
引継ぎ資料の範囲をめぐる争いを避けるため。
アカウントの失効、データの消去、完了報告の期限と方法を書いたか。
契約が終わってもアカウントとデータが残る事態を避けるため。
存続させる条項とその期間を、見出し付きで書いたか。
終了後も続く義務の範囲を明らかにするため。
起きがちなこと
終了のときに起きがちなこと
- 予告期間の定めがなく、受託者が突然連絡を断ち、委託者が代わりの担当者を探す時間を確保できなかった。
- 月の途中で終了したのに、報酬を日割りにするのか全額なのかが書かれておらず、請求額で争いになった。
- 前払いの報酬があるのに、返金の定めがなく、終了後の返金の請求が滞った。
- 契約書の予告期間が、法律の予告の規定より短いまま運用されていた。
- 引継ぎ資料の範囲が決まっておらず、受託者が作ったマニュアルを渡すかどうかで争いになった。
- 共有のID・パスワードのまま契約が終わり、元の担当者がログインできる状態が続いた。
- チャットや会議ツールの履歴、受託者の端末のバックアップに、委託者の情報が残り続けた。
- 存続条項の条の番号が、条文の修正でずれていて、秘密保持が存続する条項に含まれていなかった。
終了条項を整えるときの確認事項
- 終了の方法(期間満了・任意の解約・解除・即時の解除)を分けて書いたか。
- 解約の予告期間と、予告を満たさない場合の扱いを書いたか。
- 中途終了の報酬(日割りか全額か、時間制・件数制の精算、前払いの返金)を書いたか。
- 継続的な委託の予告について、法律の規定との整合を確かめたか。
- 引継ぎ資料の範囲、受託者に残すものの範囲、引継ぎの期間を書いたか。
- 貸与資料の返却、アカウントの失効、データの消去、完了報告の期限と方法を書いたか。
- 再委託先が持つ情報の返却・消去も書いたか。
- 存続させる条項と期間を、見出し付きで書いたか。
ミスや事故が起きたときの責任はミスと責任のページ、トラブルが起きてしまったときの場面別の確認はトラブルとよくある質問のページ、契約の全体像は全体像のページにまとめています。
よくあるご質問
事務代行の契約は、いつでもやめられますか。
準委任には委任の規定が準用され、各当事者がいつでも解除できるのが原則です(民法651条1項、656条)。ただし、相手方に不利な時期に解除したときは、やむを得ない事由がない限り、損害を賠償する必要が生じ得ます(651条2項1号)。実務では、解約の予告期間を契約書に置いて、双方の準備の時間を確保します。継続的な委託で、相手方が特定受託事業者の場合は、フリーランス法16条による30日前の予告が必要になる場面もあります。
月の途中で契約が終わったとき、その月の報酬は日割りですか。
契約書に定めがなければ、民法648条3項2号により、既にした履行の割合に応じて報酬を請求できると考えるのが出発点です。月額の報酬では、日割りにするのか、終了した月も全額とするのかを、契約書に書いておくのが安全です。時間制や件数制では、終了日までの実績で精算し、着手したが未完了の業務の扱いを決めます。前払いの報酬は、履行に対応する額を超える部分の返金の定めを置きます。
フリーランス法16条の予告は、どんな場合に必要ですか。
特定業務委託事業者が、特定受託事業者に対し、政令で定める期間(6か月)以上の継続的業務委託をしている場合に、契約の解除や、期間満了後に更新しない場合に、少なくとも30日前までの予告が必要です(16条1項、同法施行令3条)。災害その他やむを得ない事由などの例外があります。予告は、書面、ファクシミリ、電子メール等の方法で行います。受託者の側から契約を終わらせる場合の予告期間は、この規定の対象ではなく、契約書で定めます。
契約が終わったあと、預けたアカウントとデータはどうなりますか。
自動的には消えません。契約書に、終了日から一定の日数以内に、アカウントの返還・失効、委託者の情報の消去、消去の完了報告を行うと書いておく必要があります。個人データについては、利用する必要がなくなったときは遅滞なく消去するよう努めることが法律の趣旨とされています(個人情報保護法22条)。バックアップやチャット履歴など、直ちに消せないものの扱いも決めておきます。
引継ぎ資料として、業務のために作ったものはすべて渡す必要がありますか。
契約書の書き方次第です。委託者の業務のために作成した資料や、委託者の情報を含む記録は、引き渡す対象にするのが一般的です。受託者が従来から持つ汎用のテンプレートや手法は、受託者に残すものとして区別する書き方があります。どちらとも言えないものは、権利の帰属と利用の範囲を決めます。民法645条は、委任の終了後、受任者が遅滞なく経過と結果を報告する義務を定めており、引継ぎの作業の根拠になります。
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本ページは一般的な情報提供です。個別の取引への当てはめは、業務の内容や預けるものの種類、当事者の事業の形によって異なることがあります。書き方の例として紹介している内容は、一般に見られる書き方を整理した例で、特定の事業者や案件を示すものではありません。条文は e-Gov法令検索で確認しています。参考: e-Gov法令検索 / 個人情報保護委員会 / 公正取引委員会 / 厚生労働省