このページの要点
- 準委任では、委任者の許諾かやむを得ない事由がなければ復受任者を選任できない(民法644条の2第1項)。何も書かなくても自由とは限らない。
- 事務代行では、全面禁止と全面自由の両極ではなく、範囲を区切った事前承諾や、包括承諾と事後通知の組合せが落としどころになりやすい。
- 従業員の分担、補助者、休暇中の代行者、汎用ツールの利用を、再委託の定義で先に整理する。
- 再委託先に同等以上の義務を書面で課し、その行為について受託者が責任を負う。個人データは個人情報保護法25条、個人番号は番号法10条・11条が関係する。
結論:再委託の条項は「誰が手を動かすか」と「預けたものがどこまで広がるか」を決める条項です
事務代行やオンライン秘書の契約で再委託が問題になるのは、品質の問題よりも、預けたものが契約の相手方の外に出ていくという点にあります。任せる側は、特定の人(または特定の会社)の信用と能力を見て、資料、アカウント、個人データ、お金に触れる権限を預けています。その業務が、知らないうちに別の人の手に渡ると、任せる側が前提としていた信頼の根拠が崩れます。一方、受ける側にとっては、繁忙期や休暇、病気、業務量の増加のたびに承諾を求める運用は現実的ではなく、少人数のチームを組んで安定して受けたいという事情があります。
再委託の条項は、この二つの事情の落としどころを決めるものです。結論を先に挙げると、次の四点に整理できます。
- 再委託には「禁止」「事前承諾」「自由」の三つの型があり、事務代行では、全面禁止と全面自由の両極ではなく、範囲を区切った事前承諾(または包括承諾と事後通知の組合せ)に落ち着くことが多い。
- 民法は、委任(準委任を含む)では、受任者は委任者の許諾を得たとき、またはやむを得ない事由があるときでなければ復受任者を選任できないと定めている(民法644条の2第1項。準委任には656条で準用)。契約に何も書かなくても、自由に再委託できるとは限らない。
- 再委託を認めるなら、再委託先に同じ義務を課すことと、再委託先の行為について受ける側が責任を負うことを、セットで書く。
- 補助者、同じ法人の従業員、休暇中の代行者が「再委託」に当たるのかを、定義で先に決めておく。ここを曖昧にすると、通常の運用が契約違反になる。
このページが扱う軸
任せる範囲
誰が業務を行うか。担当者の範囲、チームの範囲、外部への再委託の範囲。
置き場所再委託の条項、担当者の指定(別紙または個別の依頼書)
預けるもの
再委託先にまで預けるものが広がる場合の条件。
置き場所資料・アカウント・個人データ・お金の各条項と、再委託の条項の接続
預けるものの設計そのものは、別のガイドで扱います。ここでは、預けるものが再委託先に移る場面だけを扱います。
再委託の三類型と、事務代行での落としどころ
再委託の条項は、書き方によって三つの型に分かれます。それぞれの特徴と、事務代行で起きやすいことを並べます。
再委託の三類型の比べ方
| 型 | 典型的な書き方 | 任せる側の利点 | 受ける側の負担や問題 |
|---|---|---|---|
| 禁止 | 受託者は、委託者の承諾なく、業務の全部または一部を第三者に委託してはならない(承諾の定めなし、または承諾を要する場面を限定しない)。 | 預けたものが外に出ない。担当者が固定され、監督しやすい。 | 休暇、病気、繁忙のたびに止まるか、契約違反の状態で運用する。チーム化は事実上できない。 |
| 事前承諾 | 委託者の書面または電磁的方法による事前の承諾を得た場合に限り、再委託できる。 | 再委託先を把握できる。条件を付けて承諾できる。 | 承諾の基準と期限が書かれていないと、拒否が恣意的になる。緊急の代行に間に合わない。 |
| 自由 | 受託者は、自己の責任で、業務の一部を第三者に再委託できる。 | 受託者の運用が柔軟。コストが下がる場合もある。 | 委託者は預けたものの行き先を知らない。個人データや番号を扱う業務では、監督の義務を果たしにくい。 |
事務代行では、業務の中に、承諾を求める意味がある部分と、求める意味が薄い部分が混ざっています。たとえば、顧客名簿や従業員の情報、会計ソフトやメールのアカウント、現金や口座に触れる業務は、誰が行うかが重大です。一方、データの入力の一部、文字起こし、画像の整理、領収書の仕分けなど、預けるものが少なく、成果が検証しやすい作業は、承諾の手間に見合わないことがあります。
そのため、実務では、次のような設計がよく選ばれます。
- 範囲を区切った事前承諾:個人データ、アカウント、お金に触れる業務は、事前の承諾(再委託先の名称・業務の内容・取り扱う情報の種類を通知して承諾を得る)を要する。それ以外の補助的な作業は、事前の承諾を要しない(または事後の通知で足りる)。
- 包括承諾と事後通知:あらかじめ、再委託できる業務の範囲と、再委託先が満たすべき条件(秘密保持の義務を負うこと、国内で作業すること、など)を別紙で定め、その範囲内では個別の承諾を省く。新たな再委託先を使ったときは、一定の期間内に通知する。
- 緊急時の代行:担当者が病気などで対応できない場合に限り、あらかじめ指定した代行者(登録した者)が、期間を限って対応できる。
どの型を選んでも、「承諾の基準」と「承諾までの期限」を書かないと、運用は止まります。「合理的な理由なく拒絶しない」「通知を受けてから一定の日数以内に異議がなければ承諾したものとする」のように、双方が動ける書き方を併せて置きます。
民法の出発点:復受任者の選任と、契約に書かないときの扱い
事務代行の契約は、法律行為でない事務の委託であれば準委任に当たり、委任の規定が準用されます(民法656条)。委任には、復受任者(受任者が自分の代わりに事務を処理させる者)についての規定があります。
再委託に関する民法の規定(条文の要旨)
民法644条
受任者は、委任の本旨に従い、善良な管理者の注意をもって、委任事務を処理する義務を負う。
民法644条の2第1項
受任者は、委任者の許諾を得たとき、またはやむを得ない事由があるときでなければ、復受任者を選任することができない。
民法656条
委任の規定は、法律行為でない事務の委託について準用する(準委任)。
請負として整理される業務では、別の考え方になります。契約の名称ではなく、業務の内容で、準委任か請負かを判断します。両者の見分け方は、全体像のページで整理しています。
ここから、次のことが言えます。
- 契約書に再委託の定めがなくても、準委任であれば、受ける側が委託者の許諾なく別の人に事務を処理させることは、原則としてできません。「何も書いていないから自由」という理解は、準委任では成り立ちにくい。
- 契約書に「自由に再委託できる」と書けば、委託者の許諾を事前に与えたものとして、この規定の適用を契約で調整できる。ただし、個人情報保護法上の委託先の監督の義務(後述)は、契約で免除できない。
- 「やむを得ない事由」は、例外であって、日常的な代行の根拠にはならない。休暇や病気の代行を運用に組み込むなら、契約書にその旨を書く。
民法の規定は、再委託の可否の出発点を示すにとどまり、再委託先の義務の水準、責任の所在、通知の方法などは、契約で決める部分です。
補助者、同じ法人の従業員、代行者は「再委託」に当たるか
再委託の条項で最も運用に影響するのは、再委託の定義です。受ける側が法人の場合、自社の従業員が業務を分担するのは当然のことです。ところが、「第三者に委託してはならない」と書かれた条項を機械的に読むと、従業員も、雇用契約に基づく補助者も、「第三者」に含まれると読める余地があります。逆に、受ける側が個人で、友人や家族に作業を手伝わせると、実質は再委託であっても、本人は再委託だと意識していないことがあります。
実務では、次のように、定義の段階で線を引いておくと、運用との食い違いが減ります。
書き方の例(一般的な例) 再委託の定義の書き方
同じ法人の従業員
理由従業員の分担を認めつつ、義務と責任が受託者に残ることを明らかにする。
個人の受託者が使う補助者
理由預けたものに触れる人を、委託者が把握できるようにする。
休暇や病気の代行
理由代行を契約の中に位置づけ、承諾の手続を省く。
受託者が使うツールやサービス
理由ツールの利用と、人への再委託を分け、ツールには情報の取扱いの条件で対応する。
上の表の最後の項目は、近年増えた論点です。外部のクラウド型のツールに資料やデータを入力するとき、そのツールの提供者が、情報の保管や処理を担うことになります。これを再委託として扱うか、ツールの利用として扱うかによって、承諾の要否や、個人データの委託先の監督の対象が変わります。どの整理にするかを決め、アカウントの権限とデータの入力の可否はアカウントと権限のページで、個人データの扱いは個人情報の委託のページで、条件を書きます。
再委託先に同じ義務を課す書き方と、責任の所在
再委託を認めるときに外せないのは、次の二つです。
- 再委託先に、受託者が負うのと同等以上の義務(秘密保持、個人データの安全管理、資料の返却と消去、目的外利用の禁止など)を課すこと。
- 再委託先の行為について、受託者が自らの行為と同様の責任を負うこと。
条文例第○条(再委託)
- 受託者は、委託者の事前の承諾を得た場合に限り、本業務の一部を第三者に再委託することができる。ただし、委託者が別紙で定める範囲の補助的な作業は、この限りでない。
- 受託者は、前項により再委託をする場合、あらかじめ、再委託先の名称、再委託する業務の内容、再委託先が取り扱う委託者の情報の種類を委託者に通知する。委託者は、通知を受けた日から○日以内に、合理的な理由を示して異議を述べることができる。
- 受託者は、再委託先に対し、本契約において受託者が負う義務と同等以上の義務を書面(電磁的方法を含む。)で負わせ、その遵守を監督する。
- 再委託先の行為は、受託者の行為とみなし、受託者は、委託者に対して、自ら業務を行った場合と同一の責任を負う。
- 受託者は、委託者の求めがあったときは、再委託先との契約の内容(金額を除く。)および再委託先の取扱いの状況を、遅滞なく報告する。
「金額を除く」とするのは、再委託先への報酬は委託者に開示する必要がないという整理にするためです。
この種の条項で見落とされやすいのは、第4項(受託者の責任)と、再委託先の違反があったときの報告と是正の手順です。再委託先が漏えいなどの事故を起こしたときに、再委託先から受託者へ、受託者から委託者へ、どの期限で連絡が届くかを決めておかないと、委託者が知るのが遅れます。事故の連絡の期限と初動はミスと責任のページで扱います。
個人データと個人番号がかかわるとき
事務代行で顧客や従業員の個人データを扱うとき、再委託は個人情報保護法の問題にもなります。委託元には委託先の監督の義務があり(個人情報保護法25条)、監督の項目は個人情報の委託のページで整理しています。ここでは、再委託に特有の点に絞ります。
受託者がさらに別の者に個人データの取扱いを委託する場合、委託元が再委託先の監督にどこまで関与すべきかは、個人情報保護委員会のガイドラインに考え方が示されています。具体的な内容は、ガイドラインの原文と所管官庁の資料で確認が必要ですが、契約の設計としては、再委託の承諾の際に、再委託先の名称と取り扱う情報の種類を委託元が把握できるようにしておくことが基本になります。
個人番号(マイナンバー)を含む特定個人情報を扱う事務を委託する場合は、さらに厳格です。個人番号利用事務等の全部または一部の委託を受けた者は、委託をした者の許諾を得た場合に限り、その全部または一部を再委託することができます(番号法10条1項)。再委託を受けた者は、委託を受けた者とみなされます(同条2項)。委託をする者には、委託先に対する必要かつ適切な監督の義務があります(同法11条)。個人番号を扱う業務は、再委託を原則として禁止するか、個別の許諾に限る書き方が基本になります。そもそも、事務代行の範囲に個人番号を含めるかどうかも、先に決めておく事項です。
確認の問いと理由再委託を認める前に、委託者が確認する問い
再委託先は、どこで、どの情報に触れるのか。
作業場所(国内か国外か)と取り扱う情報の種類によって、個人データの越境の問題や、アカウントの付与の要否が変わるため。
再委託先は、受託者と同じ秘密保持の義務を、書面で負っているか。
口頭の了解では、事故があったときに、再委託先に対する請求や差止めの根拠が弱いため。
再委託先が、さらに別の者に委託できないか。
多段階の再委託は、情報の行き先を追えなくなる。再々委託の禁止、または承諾を要すると書く。
再委託先の事故は、誰が、いつまでに、誰に連絡するのか。
連絡の経路が決まっていないと、初動が遅れる。
契約が終了したとき、再委託先が持つ資料とデータは、どう戻し、消すのか。
受託者との契約終了に連動して、再委託先からの返却と消去の完了報告を受ける仕組みが必要なため。
担当者の交代・休暇・チーム化と、引継ぎの設計
少人数で受けていた事務代行が、受注が増えてチーム化するとき、あるいは担当者が入れ替わるときに、契約書が追いつかないことがあります。担当者の交代は、再委託の問題というより、誰が担当者かを契約上どう特定するかの問題です。
- 担当者を特定するか:「受託者の指定する者」と書くと、受託者が自由に交代できる。委託者が担当者の人柄や経験を重視するなら、「別紙に記載した担当者」とし、変更は通知または承諾を要する、と書く。
- 主担当と副担当:主担当が不在のときに副担当が対応する体制を、あらかじめ別紙に書いておくと、休暇の代行は再委託の承諾を要しない運用にできる。
- 窓口の一本化:チーム化した後も、委託者からの連絡は窓口の1人(または1つのアドレス)に集約する。委託者がチームの個々のメンバーに直接指示すると、後述の指揮命令の問題が生じる。
- 引継ぎ:担当者が交代するときは、業務マニュアル、進行中の案件の一覧、アカウントの権限の付け替え、貸与資料の移管を、一定の手順で行う。
担当者を交代するときの流れの例
- 交代の通知受託者が、交代の理由(休暇、退職、体制変更)、交代する日、新しい担当者の氏名と経験を、委託者に通知する。
- 預かり物の確認現担当者が、貸与資料、アカウントの権限、進行中の案件を一覧にする。
- 権限の付け替え新しい担当者に個別のIDを付与し、現担当者のIDを失効させる。共有のID・パスワードの引継ぎは避ける。
- 引継ぎの実施業務マニュアルと進行中の案件の状況を、新しい担当者に説明する期間を設ける。
- 完了の報告受託者が、引継ぎの完了と、旧担当者の権限の失効を、委託者に報告する。
引継ぎの手順は、契約が終了するときの引継ぎと共通する部分が多くあります。契約全体の終了は終了と引継ぎのページで扱います。
再委託と「業務委託」の独立性:指揮命令の問題
再委託の条項には、独立性に関する落とし穴があります。事務代行を請け負った受託者が、さらに個人の事業者に作業を回す場合、委託者がその個人に直接、作業の手順や時間を指示する運用になると、契約の形式は業務委託でも、実態は労働者派遣などと評価されるおそれがあります。
この点の整理は、労働者派遣の定義(労働者派遣法2条1号)と、請負・業務委託との区分の考え方を、関係する法律のページで扱っています。再委託の場面では、委託者が再委託先の人員に直接指示しないこと、指示の窓口を受託者に一本化することが、契約書の書き方の中心になります。
契約の書き方としては、次のような配慮が考えられます。
- 委託者は、再委託先の個々の担当者に対して、直接指示をしない。指示は、受託者の窓口を通じて行う。
- 受託者(または再委託先)は、業務の遂行の方法、時間配分、作業場所について、自らの裁量と責任で決める。
- 業務の進め方についての報告は、成果の確認に必要な範囲にとどめ、日々の細かな時間や手順の管理にしない。
- 委託者の施設に常駐させる場合など、場所が拘束される運用は、必要性を契約書に書く。
自社の事務を個人に任せる場合と、顧客から受けた事務を他の事業者に回す場合とで、フリーランス法や取適法の及び方が変わります。立場ごとの整理は関係する法律のページで扱います。
競業・直接取引の禁止との関係
再委託やチーム化をすると、委託者と再委託先、あるいは委託者とチームの個々のメンバーが接点を持ちます。そのとき、受託者の側から、「再委託先が委託者と直接契約するのを防ぎたい」という要望が出ます。これが直接取引の禁止の条項です。
この条項は、受託者にとっては、自分が見つけて育てた担当者を、委託者に取られない保護になります。他方で、委託者にとっては、担当者が退職や独立をしたときに、同じ担当者に引き続き依頼できなくなる制約になります。書き方によっては、職業選択の自由や取引先選択の自由を過度に制限するとして、有効性が争われ得ます。考慮される点は、禁止の期間、対象となる者の範囲、禁止される行為の範囲、対価の有無です。
書き方の例(一般的な例) 直接取引の禁止の書き方
対象の範囲
理由対象が広すぎると、制限の合理性が問われやすい。
期間
理由期間の定めがない制限は、必要以上に広いと評価されやすい。
例外
理由委託者が業務を継続できなくなる事態に備える。
この条項は、競業避止義務や職業選択の自由との関係もあるため、期間と範囲の合理性が問題になります。条項の有効性そのものの判断は、個別の事情によって異なります。
起きがちなこと
再委託とチーム化で起きがちなこと
- 再委託の定めがなく、受託者が別の人に作業を回していることに、委託者が事故の後に気づいた。
- 「第三者への委託を禁止する」とだけ書かれ、法人の従業員の分担や、休暇中の代行が、契約違反の状態で運用されていた。
- 「再委託は受託者の自由」と書かれ、個人データを扱う業務まで、委託者の知らない再委託先に回っていた。
- 再委託先に同じ義務を課す条項がなく、再委託先が秘密情報を持ち出しても、委託者が再委託先に請求する根拠がなかった。
- 委託者が再委託先の担当者に直接指示を出す運用が定着し、独立した事業者という建付けが実態と合わなくなった。
- 担当者の交代の際、旧担当者のアカウントが残り、権限の付け替えが行われなかった。
- 承諾の手続が重く、緊急の代行に間に合わなかったため、承諾なしに代行を行い、後から問題になった。
再委託・チーム化の条項を整えるときの確認事項
- 再委託の定義に、法人の従業員、補助者、代行者、汎用ツールの扱いを書いたか。
- 事前承諾を要する業務と、承諾を要しない補助的な作業を、別紙で区別したか。
- 承諾の基準(合理的な理由なく拒絶しない)と、通知から異議までの期限を書いたか。
- 再委託先に同等以上の義務を書面で課すこと、再々委託の禁止または承諾制、再委託先の行為についての受託者の責任を書いたか。
- 個人データ、個人番号、アカウント、お金に触れる業務の再委託の条件を、それぞれの条項と接続したか。
- 担当者の特定、変更の手続、窓口の一本化、引継ぎの手順を書いたか。
- 再委託先の担当者への直接指示を行わない旨と、受託者の裁量を書いたか。
- 直接取引の禁止を置く場合は、対象の範囲、期間、例外を限定したか。
業務の範囲や追加依頼の受け方は業務範囲のページ、全体の設計は全体像のページ、トラブルが起きたときの場面別の確認はトラブルとよくある質問のページにまとめています。
よくあるご質問
契約書に再委託の定めがない場合、受ける側は自由に別の人に作業を任せられますか。
準委任の契約であれば、原則として自由にはできません。民法644条の2第1項は、受任者は委任者の許諾を得たとき、またはやむを得ない事由があるときでなければ復受任者を選任できないと定めており、準委任には656条でこの規定が準用されます。ただし、請負として整理される業務は別の考え方になるため、業務の内容から契約の性質を確かめます。実際の運用で再委託や代行が想定されるなら、契約書に書いておくのが安全です。
受ける側が法人の場合、従業員に作業させることは再委託に当たりますか。
契約の書き方次第です。「第三者への委託を禁止する」と書かれていても、従業員が当然に除かれるとは限りません。実務では、受託者が法人の場合に、その役員および従業員に業務を分担させることは再委託に当たらないと定義で明記し、その場合も受託者が分担者に同等の義務を負わせ、責任を負うと書く方法がよく見られます。個人の受託者が家族や知人の手伝いを使う場合は、別に事前の通知と承諾の定めを置きます。
再委託先が情報を漏らしたとき、委託者は誰に責任を問えますか。
契約の設計によります。再委託先の行為を受託者の行為とみなす条項があれば、委託者は受託者に対して、自ら業務を行った場合と同一の責任を問えます。条項がなくても、受託者が選任した復受任者の行為について受託者が債務不履行の責任を負う場面はあり得ますが、争いを避けるには明記が必要です。個人データの場合は、委託元に委託先の監督の義務があるため(個人情報保護法25条)、監督の状況を記録しておくことも大切です。
個人番号を扱う事務を、受ける側が別の人に再委託することはできますか。
委託をした者の許諾を得た場合に限られます(番号法10条1項)。再委託を受けた者は、委託を受けた者とみなされ、委託をする者には委託先の監督の義務があります(同法11条)。個人番号を扱う業務を事務代行の範囲に含めるか自体を先に決め、含めるなら、再委託は原則禁止か、個別の許諾に限ると書くのが基本になります。細目は、番号法のガイドラインなどの所管官庁の資料で確認が必要です。
委託者が、再委託先の担当者に直接指示を出しても問題はありませんか。
運用次第で、契約の形式と実態が食い違うおそれがあります。業務委託や請負の形でも、実態が指揮命令であれば、労働者派遣との区分が問われ得ます。契約では、指示は受託者の窓口を通じて行うこと、業務の進め方や時間配分は受託者の裁量であることを書きます。区分の考え方は、関係する法律のページで整理しています。
あわせて読みたいページ
本ページは一般的な情報提供です。個別の取引への当てはめは、業務の内容や預けるものの種類、当事者の事業の形によって異なることがあります。書き方の例として紹介している内容は、一般に見られる書き方を整理した例で、特定の事業者や案件を示すものではありません。条文は e-Gov法令検索で確認しています。参考: e-Gov法令検索 / 個人情報保護委員会 / 公正取引委員会 / 厚生労働省